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Norway’s bloody day

ノルウェーの血塗られた日

7月22日、それはノルウェーにとって、戦後最悪の血塗られた日(風刺画 “Norway Mourns” by Matteo Bertelli)となってしまいました。

オスロの首相府近くで起こった爆弾テロの約2時間後、オスロ郊外のウトヤ島で残虐な銃撃が1時間半続きました。この連続テロの死者数は当初93人と言われていましたが、その後の警察の調べで76人に修正されました。 BBCのリポート

逮捕されたアンネシュ・ブレイビクは犯行の動機について、「イスラム教徒の侵略からノルウェーと西欧を守るため」で、移民導入を進めた労働党の「将来の党員募集を阻害するため」に、若者を殺した、と語っています。(引用元は2011年7月26日付Web版毎日新聞)。

ブレイビクが襲ったのは、与党労働党の青年部(AUF)のサマーキャンプです。ツイッターの記録から、そこには全国から700人あまりの若者たちが集まっていたと言われています。彼らは政治に関して議論したり、音楽やスポーツを楽しんだり、政治家らの講演を聞いたりして過ごしていました。そしてまた、環境、女性の権利、中東の政治に関して議論が行われ、盛んにツイートも行われていましたが、それはある時点で不気味に途切れています。
Global Voices “Norway: A Firsthand Account of the Massacre in Utøya”

今後の捜査でさらに詳しい状況や容疑者の考えなどが明らかになると思いますが、これまでのところブレイビクについて分かることは、ノルウェーの労働党が進めてきた移民政策に強く反対する執念深い人物像です。それは、このテロを実行するために2009年から周到に準備を進めてきたことに加え、襲ったのが現在の政治家ではなく(演説後、襲撃前に現場を去ったブルントラント元首相を狙ったとの報道もあります)将来のノルウェー政界を担うかもしれない若者たちという点からもうかがい知ることができます。

今回、NI 6月号「極右が支持される理由」で取り上げましたが、ヨーロッパでは、かつては既存メディアも政治家も気にかけてこなかった極右政党が、国政に一定の影響力を持つようになっています。2000年にイエルク・ハイダー率いる極右政党の自由党が連立政権に加わりヨーロッパ中に衝撃を与えたオーストリア。ヘールト・ウィルダース率いる自由党(昨年6月の総選挙で9議席から24議席へと躍進)が閣外協力して多文化主義政策に終止符を打ちつつあるオランダ。昨年の総選挙で移民への反感をあおって初の議席を20議席も獲得して無視できない存在となったスウェーデン民主党は、高齢者(または元からスウェーデンに住むスウェーデン人)の福祉と移民政策の二者択一を感情に訴えて迫るような選挙CMの放送を予定していました。このCMは放送が見合わされたものの、これと似たような二者を対比させるCMが放送されて物議をかもしました。

もちろんこれらの極右政党は政治政党であってテロ組織ではなく、極右思想の持ち主が誰でもブレイビクのような蛮行に走るとは考えられません。しかしどの政党も、一部の過激なイスラーム教徒による海外のテロ事件や各国内の不況と雇用不安がもたらす心理状況を利用して、ネイティブ(もともとその国に住んでいる人)と移民の間に寛容、受容、対話を促して社会の調和と結束を図る代わりに、非生産的な拒絶、嫌悪、衝突を広めて分断をもくろんでいるのです。

ノルウェーでは、今のところ人々は怒りよりも犠牲者に対する悲嘆に包まれた状況で、外国人に対してもこれまでと同じ様に落ち着いた態度で接しているようです。今回の事件が、開かれたノルウェー人の思考とノルウェー社会に今後どのような影響を及ぼすのか懸念されるところですが、影響力を拡大したい極右や右翼勢力が支持を伸ばしたり彼らに有利に働くことはないでしょう。今回の事件はあまりにも凄惨で痛ましくひどいもので、彼らの主義主張に同調する市民が増えるとは思えません。

NIジャパン

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